「人身売買」と「解放」

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 様々な略取・誘拐に関する罪を確認したところで、最後に人身売買に関する規定と解放の規定について確認してみます。人身売買罪については、買い受けた者の処罰について226条の2で規定されており、人の買い受け全般、未成年者買い受け、営利目的等買い受け、人の売り渡し全般、所在国外移送目的での売買が処罰の対象となっています。そして、これらの刑は未遂であっても処罰されます。

 また、刑法は解放による刑の減軽を228条の2において定めています。身代金目的略取・誘拐罪、身代金要求罪、被拐取者引き渡し罪については、公訴が提起される前に被害者を安全な場所に解放した場合には刑を減軽するとされています。なお、「安全な場所」とは、被拐取者が近親者や警察によって安全に救助される場所を指し、そこでいう「安全」とは、具体的かつ実質的な危険のおそれがないことをいい、漠然とした抽象的危険やたんなる不安感危惧感を伴うだけでこれが欠けるわけではないと判示されています(最昭54年6月26日刑集33巻4号364頁)。

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